その夜に、私達は初めての過ちを犯した。 月明かりしかない車内で、 彼が私に触れてきた。 不思議と、そうなってもいいと思った。 あのときの私は淋しかったのかもしれない。 ううん。 昔に残してきた恋火が、一瞬だけ燃え上がったんだ、きっと。 忘れてきた初恋が、 私の中で。 そして、彼の中でも。 ******* 一晩を、車で過ごし、 朝方、私達は別れた。 「俺、、、浮気相手でもいいよ」 それが彼の最後の言葉だった。