愛優の手首で脈を取りながら時計を見る。
「……愛優、」
「…」
呼びかけに対し一切反応しない。
「季蛍、救急車」
「わかった、総合病院の方運んでもらうでしょ?」
「あ、うん」
季蛍が電話を掛けに部屋を出て行った。
制服のブラウスのボタンを外して体温計を入れる。
体は冷たく冷えている。
ピピピピッ ピピピピッ
「…………9度8」
「蒼、呼んだ」
「ありがと。何分でつくって?」
「すぐ来れるって」
「ん、良かった」
氷を包んだタオルを脇と首、足の付け根に置いて冷やす。
「…帰ってたのか…」