車に戻れば季蛍が起きていた。
「おはよ。サービスエリアついたけど、なんか買ってこようか?」
「……はよー……」
ぼーっと遠くを眺める季蛍。
「おーい、季蛍?起きてる?」
「………あ、蒼……」
「はよ。なんか買ってこようか?」
「………食べない」
「いや、食べないって言ってもさ。なんか飲むとか」
「………いらない」
「朝ご飯、どうすんの?」
「……いらない」
「じゃあ後で食べよっか。」
頷く季蛍。
…………温泉旅行なんて久しぶり。
すごく久しぶり。
愛優と夏来は実家で留守番。
仕事も1日だけ休みを取った。
だけど、ずっと休みを取れるはずもなく。
一泊二日。
でも、季蛍はすごく楽しみにしてた。