「はぁー…ったく。」
「……蒼、怒ってる…?」
「うん」
「…………。」
和奏先輩の顔が浮かぶ。
今なら、蒼は和奏先輩の所へいってもおかしくない、と思ってしまう自分がいた。
「…和奏先輩のこと、好き?」
「は?」
即答だったことが、少し…嬉しい。
「和奏先輩……のこと、好き?」
「…んなわけないじゃん。何?そう思ってたわけ?」
「………蒼さ。私じゃない人と結婚すればよかったね」
「は?何言ってんの?」
「………和奏先輩みたいな、キレイでしっかりしてて、体なんて壊さなくて、迷惑かけなくて、蒼にふさわしい、お似合いの人と…」
「何言ってんのっつってんの。」
「………」
本気でキレそうな蒼を前に、黙りこくる事しかできない。
「………俺はさ。季蛍と結婚したかったからしたんだよ。
和奏ちゃんがどうとか、季蛍がどうとか、関係……ないから」
「だ、だって…ッグ、蒼…ヒッグ、私以外…………ヒッグ」
「………もう何も言うな。季蛍の思ってたこと、全部違うからな。
………和奏ちゃんの所になんて、行かない。行くわけない」
「…………蒼」
「一週間も、気づいてやれなくてごめん。」
その言葉に、また涙した。