少し落ち着いた頃、ベッドに座らせた季蛍の白衣を脱がせる。
「ここで少し休んでて。仕事終わったら、高島に診てもらえるから。
でも喘息の確認しときたいから、服…あけるよ」
頷く季蛍の服を開けて、聴診器を入れる。
そのとき、
ガラガラッ
「……蒼くん?」
「………えっ」
「…何、してるの?」
「……和奏ちゃん。勝手に入ってきたらダメだって。」
「だってさっきより熱が…」
「悪いけど、今手が放せないから。看護士にでも言って。俺じゃなくたっていいだろ」
「……………。」
静かにドアを閉めた直後、季蛍が不安そうに俺のことを見つめる。
「……ん、あぁごめん」
ボタンを留めて季蛍の傍らに腰を掛ける。
「……ねぇ、今の」
「覚えてる…?」
「…………忘れたいけど、忘れられないよね、あんなこと言われたんだもん」
『季蛍ちゃんと蒼くんは、似合わない。』
季蛍と俺の目の前で、彼女が発した言葉。
季蛍にとっては先輩だった彼女に、刃向かうことなんてできず、
彼女にとっては後輩だった季蛍を、ズタズタに言うことは彼女の日常茶飯事。
相当、
あの時季蛍が傷ついていたことを、あのときの俺は気がつかなかった。


