「これねー、ワインなんだけど。季蛍さんとから飲んでもいいかなぁーって」
目の前でとくとくとつがれていく。
「どうぞ?」
「あの、私…帰らないと」
「いいーよまだ。ゆっくりしてって」
嫌です、その四文字すらでない。
怖くて、ふるえて、逃げたくて、でも…動けなくて。
怖い怖いと思えば思うほど辛くなる。
なんで?
どうして女の人を平気で連れ込むことができるの…?
「……あの、下手したら犯罪とかに」
「ぁ?季蛍さんさ。自分におかれた立場…わかってんの?
俺、季蛍さんのせいで研修医じゃいられなくなったんだよね。
何?俺の人生台無しにしといてそれはなくない?
今日はその記念日だよ、償いの記念日。」
元はと言えば……
彼のせいで…病院にこれなくなったのに…。
「今日はたのしもーね?季蛍さん」