患者さんの処置をしていると、静かにドアが開く。
「蒼先生ー…」
小声で顔をひょこりと出す看護士。
「ん?いいよ、入って」
「あ。失礼します」
患者さんの処置に目を向けながら、耳だけ看護士に向ける。
「どうした?」
「あの。詳しくは知らないんですけど…季蛍先生、倒れたらしいです」
「え?季蛍?」
処置に集中しながらも、声を上げる。
「えっと、上野先生が言うに、熱…?で倒れたらしいです」
「はー。今どこにいる?」
「季蛍先生、体の力ほぼ抜けていたみたいで、歩けない感じだったのて、先生方で処置室に………」
「あ。わかったー…今ついてくれてる先生いるのかな……」
「上野先生いると思います」
「そう。じゃあ港にさ、あとで行くって伝えてもらっていい?」
「はい。わかりました」