「……うん、大丈夫そうだね。次、口開けて」
俺に体重を預けた季蛍が嫌そうに顔を背ける。
だけど、俺が季蛍の顔を手で高島の方に向けるから、口を開けなきゃいけないはめに。
「季蛍…あーん」
「嫌ッ」
「……全部いやいや言われてたら高島困っちゃうだろ?ほら、口開けなさい」
俺が無理に開けようとしても、絶対開かない季蛍。
高島がペンライトと圧舌子をもって、季蛍が口を開けるのを待っている。
「季蛍。大丈夫だから」
俺が耳元で囁くと、ゆっくり開いていく口。
「えらい。」
高島が圧舌子を口の中に滑り込ませたとたん、パクリと口を閉じる季蛍。
「あッ。こーら。食べるものじゃないでしょ!?」
首を振る季蛍。
「圧舌子食べないの。あーして」
高島が、季蛍にそう言えば、ゆっくりと口を開けた。
「……できるじゃん。」