季蛍の背中に左手を回した高島が、右手で聴診器を入れる。
「…ん、やぁッ」
ヌクッと立ち上がった季蛍は、診察室からでようとドアの方へ……
「季蛍ッ」
俺は季蛍の腕をつかむ。
「嫌ッ!!離して!!!」
完全に興奮状態になった季蛍が、苦しそうに息を続けながら言う。
「落ち着け、季蛍」
ハァハァ言いながら座り込む季蛍のわきの下に手を入れて立たせた。
そのまま俺はベッドに座り、季蛍も膝にのっける。
「……高島だから大丈夫だって」
「…ハァハァ」
高島は季蛍のことを考えて下から手を滑り込ませて聴診していたんだろうけど…
嫌だ、と首を振りながら泣きそうな季蛍の服のボタンを開けていく。
「嫌ッ!!蒼ッ」
「すぐだから」
「嫌ぁだッ!!!!」
「……季蛍。落ち着くの。ゆっくり呼吸して」
左手で季蛍が逃げないように止めているから、右手で聴診器をつけた。
膝上に座る季蛍は、まだ嫌だ嫌だと、首を振り続ける。
「季蛍季蛍。見てて?これ俺の手」
季蛍が涙目で聴診器を持つ俺の手を見つめる。
「いい?……」
聴診器を、服のボタンをほとんど開けた季蛍の服の中に入れようとする。
その光景に、恐怖心を覚えているみたいで、嫌だと言う声が、一層強まった。


