「一回だけ。ね」 椅子を引っ張り、季蛍に近づく高島が、聴診器を片手でつけて、季蛍の服を捲ろうとした。 そのとき、パシンとその手を払いのける季蛍。 「……やッ」 「……季蛍」 「やらない…」 「ダメだって。やらなきゃ薬出せないよ」 「いらない」 高島が、深くため息をする。