車で家に向かっているときも、ずっと俯いたままだ。
「…季蛍」
「………………」
「…季蛍」
何度か呼ぶけど、俯いたままだ…。
俺はため息一つつくと、近くのコンビニに車をとめた。
「季蛍、」
「……」
「…ハァ」
車を降りて、コンビニでおにぎりとお茶を買うとまた車に乗る。
「これ、食べて」
「………」
「今日、お昼も何も食べてないだろ。食べないと元気でないよ」
そう言っても受け取らないので、おにぎりの包装を開けて季蛍に渡す。
ゆっくり顔を上げて、おにぎりを受け取り、口に含んだ。
「………おいしい?」
「……うん」
「良かった、ほら家行くよ」