大分呼吸が落ち着いた頃、高島が救急箱を机に置いてそっと出て行った。
「……季蛍。手当て、するから手だして」
花瓶の破片で切った手を、ゆっくり差し出す季蛍。
「……ごめん」
消毒液をつけると、しみるようで手を引っ込めようとする。
その手を掴んで、また消毒液していく。
ガーゼと包帯を巻き終えると、未だ止まらない涙をそっと拭う。
「……大丈夫…?…………じゃないよな」
かける言葉が見つからなくて、ただただ背中をさすってることしかできない。
実奈ちゃんにだって、悪気があったんじゃない。
季蛍に恨みがあるわけでも、憎しみがあるわけでもない。
ただ、暴れる心情になったときに側にいたのが季蛍だっただけ。
だけど、
体の痛みは、そんな気持ちで変えられない。


