病室のドアを開けると、実奈ちゃんは季蛍の首を手で押さえつけている。
「ちょ、待っ…。実奈ちゃん!!!」
「やッ、蒼先生ッッ……」
「実奈ちゃんッ」
実奈ちゃんは、最近入院した中学一年生の女の子。
病室中には、点滴が外れて倒れ、実奈ちゃんの腕からは血が垂れている。
花瓶は割れて、床に破片まで飛び散っている。
「実奈ちゃんッ、離しなッ…」
看護士が数人で実奈ちゃんをおさえるけど、暴れるのは止まらない。
病室中には、看護士が三人、そしてあとから高島が走ってきた。
季蛍は、実奈ちゃんに突き飛ばされたせいか、病室の端で、倒れて手を突いている。
髪は乱れ、苦しそうに息を続けている。
「……ッハァ…ハァハァ…ハァ、」
「高島、季蛍、隣に連れてって」
「あ、はい」
「実奈ちゃん、落ち着こうか、」
「…ッハァッハァハァ……蒼先生…」


