ハッと我にかえったらしい季蛍が、味噌汁から箸で引き上げられたミカンを見て
「……み、かん?」
と謎の微笑みを向ける。
季蛍の料理を見て、相当熱が高いんだと。
熱が高いのに料理を無理して作ったから、謎の料理が出来上がっている。
「……嘘、私味噌汁に……ミカン」
俺は苦笑いでミカンをたべる。
「……味噌味のミカンおいしいよ、季蛍」
「ごめ、ん……ほんと…」
「具合悪いのにご飯作ったのか?
連絡もくれないし。我慢すんな」
「……………してないもん」
「季蛍、これ食べてみ」
なぜか赤い米をスプーンで季蛍の口元へ持って行く。
パクリと食べた季蛍の顔が、だんだん険しくなった。
「………ケチャップ」
どうやらケチャップを入れて炊いたらしい。
「ハハ、季蛍かわいい」
たまには食べてみたいものだ。
季蛍の珍料理。