看護士が璃子ちゃんの服を全部捲る。
「息、ゆっくりしてて」
璃子ちゃんの胸部に聴診器をあてる。
「……………うん、」
看護士が服を直す。
「璃子ちゃん、あーん」
小さい口を一生懸命あける璃子ちゃんをみて、なんだか微笑ましい。
「……風邪だな。港にこれ渡しといて。
じゃあ璃子ちゃん、先生行くね。」
「蒼せんせ、待って………」
「………ん?」
「や。」
涙目でそういうから、俺は思わず足を止めた。
「蒼せんせ、行っちゃったら…」
悲しそうな目をするから、何かと思えば、看護士が
「このあと検査なんです」
と、小声で言う。
あぁ、それで。
「璃子ちゃん、検査港先生がやってくれるんでしょ?なら大丈夫だよ。ね」
「…………うん」
「もしものときは来てあげるから。ね、じゃあ島内さんよろしく」
「はい。」