「上野陽さーん、」 と、呼ばれて陽を連れて行く。 陽は不安そうに俺の後ろを歩いて、ギュッと服を掴んでいた。 ガラガラッ。 「あ、どうぞ」 山瀬が微笑むけど、陽の手は緊張からか冷えていて、ガチガチだ。 「ほら、陽」 ゆっくり入り、椅子に座る陽。 「じゃあ陽、後でね」 イヤイヤ、と首を振る陽を後に、診察室をでた。