手を当てたのは、胸。 「よし、果織ちゃん、楽になるから、注射してもいい?」 首を振って、 「嫌ッ…。蒼ッせんせッ」 泣きじゃくる果織ちゃん。 看護士が呼んできてくれたらしい港くんが、病室に駆け込む。 「果織ちゃんッ。苦しいけど、注射我慢しよう?」 夏野先生がさっき言っていた、注射器を持つ港くん。 「蒼先生、じゃ、ないと……や」 その言葉を最後に、果織ちゃんは意識を手放した。