「そこにさぁ、ホテルあんだよね。そこで話そうぜ」
私の腕を掴んだ男は、商店街をズカズカ進んでいく。
「いっ、た」
腕をほどこうとしても、ほどけなくて、
だんだんと近づいてくるホテルの看板に、寒気が走る。
「や、やっぱすいません、離してくださいッ」
力ずくで振りほどいた腕を、男はマジマジと見つめた。
「ぁ?逃げられんと思ってんのか?」
「い、や…」
愛優を妊娠したときにもあった、あの恐怖。
あれが体を硬直させ、身動き一つ出来なくなる。
肩に手をのせられて、ビクッと反応した体を彼らは笑う。
そのとき、
「すいません、僕の嫁です」
手早く私の手が握られ、ぐいっと引っ張られ、その手を握る男の人は、ズンズンと走っていく。
手を握られている私も、一緒に走る。
「ッえ、ちょっと…」
あの男たちは、バイクに乗ったり、走ったりして追いかけてくるけど、手を握る彼が、細井わき道に入った。
そして、そこにとめられていた車のドアが開く。
「乗って!」
「えッ?」
訳がわからず、押し込められるまま車に乗る。


