「果織ちゃん、おはよ。」
ベッドの横の椅子に腰掛ける。
そして、横から果織ちゃんの首元に手を触れる。
「………」
窓に体を向ける果織ちゃんだけど、後ろから手を伸ばし額に手を触れる。
「……果織ちゃん、」
「……怠く、ない…。」
「何もしないから。ただ、心音は聞かせて?」
怠そうに唸る果織ちゃんの服の中に、サッと聴診器を。
「…………………」
「…蒼せん、せ」
「ん?」
「喉、いたい」
やっと体をこっちに向けてくれたと思えば、果織ちゃんの目は涙目だった。
聴診器を抜いて、前を閉める。
「口開けてごらん?」
小さく開けた口の中に、白衣のポケットから出したペンライトをあてる。
「ほかに痛いところ、ある?」
「……………ない、よ?」
本当はほかにも痛いところあるはずなのに。
隠したな。さては。
「もっと喉腫れたら薬塗ってあげるからね。何かあったら看護士さん呼んでね?」
「………うん」