発作の苦しさより、薬を吸うときの苦しさの方が苦しい。
と以前言っていたのを思い出して、余計にため息がもれる。
「今吸ったらあと楽だから」
そう言うけど、吸おうとしない季蛍。
「……ッ、ハァ…」
「…」
背中をさすりながら、持っていた薬を白衣のポケットにしまう。
だんだんと落ち着いてくる季蛍。
大丈夫、と微かな声で呟いた季蛍は、今ので体力をかなり使ったようで、俺に寄りかかる。
「高島んとこ行く?」
別に俺でも問題ないが、この頃発作がよくでる、ということを考えると、主治医の高島の方がいい。
「……行か、ない…」
「……。」