──と言った次の日は、またジメジメとした気候。
「蒼先生おかえりなさい、」
「あ、高島。なんか悪いな、いろいろ」
「いえ、」
「………季蛍は?」
「…さっきまでここにいたんですけどね」
「どこだろ…」
「多分──────
あッいました、」
蒼先生の背後に、季蛍がぽつんと立っている。
それを、蒼先生が微笑みながら手招きする。
季蛍が近づくと、蒼先生はその季蛍をやわらかく抱きしめた。
ふんわりと。
「蒼ッ…ここ、」
「いーの。」
「蒼ッ…」
「会いたかった」
「私も」
………新婚ホヤホヤのような言葉を交わす2人。
蒼先生のような存在がいるから、季蛍はいて、
季蛍という存在がいるから、蒼先生がいる。
お互いに、
支え合っている
という言葉がぴったり一致する、俺の理想的な夫婦だと思った。
俺もあんな夫婦にいつかなりたい。
そう思った俺の視界には、季蛍が蒼先生にしか見せない、
微笑みと悲しみの入り混じった表情をしていた────