「ッケホ、ッケホ……………ッハァ、ハァ、ハァ…」
「またか…」
今日のお昼あたりから、季蛍が変な咳をしていることに気づく。
過呼吸……
発作……
の中間あたりのような。
ゼェゼェする感じじゃなくて、ハァハァ苦しそうな息遣いをしているというか。
「……大丈夫?」
息苦しそうに頷く季蛍だけど、大丈夫そうではない。
「……あッ…………蒼ッ…」
「………」
蒼先生の名前を呼ぶ季蛍。
実は蒼先生と連絡がとれない。
季蛍が変な咳をし始めてから、風邪とかを引いているのが
俺に伝わってないだけだと思って連絡をとろうとしたけど
……でない。
集まりみたいな、会議みたいなものに出るために出張に行ったと言っていたから、
連絡が取れないこと自体は不安ではないが、
季蛍の体調の急変は気になる。
特に、季蛍が蒼先生の名前を呼んでも、蒼先生の来れない、
今日みたいな日は。