「季蛍さん?聞いてるの?」
「あ、あの…。今仕事中なんであとでじゃだめですか?」
「ふぅーん。季蛍さんは俺より仕事とるんだぁー。」
「…………」
萩瀬 司
ハギセ ツカサ
──研修医の名前。
最近入ってきたその萩瀬先生は、よく私にまとわりつくようになった。
それも、誰も見ていない場所で。
「季蛍さんってー、蒼先生と結婚してるんですよね?」
「は、はい」
「ふぅーん、蒼先生のどこを選んで結婚したわけ?
顔?性格?」
「……そ、それは…」
「顔だったらさぁ、俺も結構いけんじゃない?せ性格だってさ」
「えっ…」
「蒼先生はかっこいいと思うけど、僕も結構いけません?」
診察室というこの空間で、身をつめて寄ってくる彼。