「ぎゃｯ、こ、港、、お帰りなさい」
「…?ただいま」
「……ご、ご、ご飯出来てるよ」
………様子がおかしすぎる。
俺と目を開わせない。
ふと首に手の甲を当てる。
「…………熱い」
「ふぇ？熱くない熱くない」
……………そういうこと。
「陽ー？熱、計ろうかぁ？」
優しく問いかけるのが、余計怒ってるように見えるようで、思わず布団を被ろうとする陽。
「はい、体温計」
「………」
渡しても受け取る様子のない陽。
「ふぅーん、そーんなに俺に体温計を入れてもらいたい。なるほど」
少し意地悪だったかな、と思ったけど、隠そうとしたお仕置き。
「こ、港…」
嫌がる陽のボタンを次々と開け、体温計を入れた。
徐々に涙目になる陽。
体温計を抜こうとしたり、腕を浮かせようとしたりする陽の肩を押さえた。
ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ
「……7度8分か」
「ね？熱なかった」
「あーりーまーす。」
「…………」
寝室から出て、棚から薬を取って、冷蔵庫から水を持ってくると寝室に戻った。
「はい、飲んで」
「………」
「………黙ってたんだから言うこと聞きなさい」
「飲みたくない……」
眠くなるから。
陽の言いたいことは予想つく。
「…俺も隣で寝るから」
「やだ。港寝ちゃったら私どうすんの!?」
「……はぁ。」
「飲まないし、寝ないからね」
「…陽、そんなんで治る？」
「…………」
「治らないと、仕事行かせないし、家事もやらせない。ずっと寝たままだよ？」
「…だって、」
「……………ん？」
「………飲もうとしても……うまく飲み込めないんだもん」
「…え？」
