「確かに、声も仕草も笑顔も全部高遠ちゃんだけど、でもやっぱりあの頃とは違うって思ったんだ。」
「やめろ弥生…」
「あのときの方がよかった…」
静かに涙を流しながら、
弥生はしゃがみ込んだ。
「お前、今の言葉絶対に鈴香には言うなよ。」
「え?」
「あいつだって相当辛いんだ。
自分の為に会いに来てくれる人のことが思い出せなくて、自分でもわからないのに前の自分の姿で居続けなくちゃいけなくて、誰よりも辛いのはあいつなんだよ…」
弥生は、しゃがみ込んだまま黙り続けている。
「そんなこと言ったらあいつ絶対傷つくから…言わないで欲しい…」

