雅の投げかけに答えるように
俺は自然と口が開いていた。
「この前、鈴香のお姉さんから連絡あって、病院に行ったんだ。そしたら鈴香が眠っててさ、記憶障害だって言われた。」
「うん」
「俺、鈴香に思い出して欲しくて、ほぼ毎日病院に通ったんだ。でも3日くらい前に病院に行ったとき、ある相談をされたんだ。」
「相談?」
口に出すことがこんなにも辛いだなんて思わなかった。
俺は重たい口を必死に開いて、雅に真実を告げた。
「…好きな人ができたっていうんだ。」
「は?」
「その相手は、病院内で出会った良介さんって人。良い人ではあるんだけど、俺はちょっと苦手…」
「ちょ、ちょっと待って!」
雅は俺の話を急に遮った。

