「先週まですごく忙しかったじゃない?
だからね、僕、すごく疲れていたんだよ。
でね、日曜日の昼間、リビングの床でごろごろしていたら、掃除機かけてた奥さんが、僕の髪の毛を掃除機で吸ったんだ!」

「‥‥」

「愛する旦那様に、そんな事、できないよね?
ねぇ高峰君、君の彼女は君にそんな事、する?!」

高峰が現在自分の彼女である同僚の田中を見やると、そこには大きく頷く田中の姿があった。

絶対やるな、と確信をもった高峰。

「ぶちょー、掃除してる奥さんの邪魔するぶちょーが悪いですよ。
ごろごろするぐらいなら、布団で寝りゃあいいじゃないですか。」

自分の席から部長に声を掛ける田中。

あげく、布団干したかったら、やっぱりぶちょーは邪魔だぁ、とけらけら笑いだした。

「もう愛はないんだね?!」

机に突っ伏して泣き出す部長。

高峰はため息をつき、課長の席に向かった。

――だめだ。課長、助けてください。