だから必死にお願いした。
「お前が留年しようと俺には関係ない」
「そうですけどっ、人助けだと思って!お願いします!」
冷たい言葉を返して来る一条君に、必死に頼み込む。
「な、なんでもしますからっ!お願いだから助けて下さいっ!」
「なんでも……?」
わたしの言葉に一条君の眉がピクッと動いた。
そして鋭く光る眼光でわたしを見つめる。
それはまるで獲物を狩る野獣のようで、ビクビクして怖気付きそうになった。
だけど、覚悟を決めて口を開く。
こうなったらもう、どうにでもなれ!
「は、はいっ!わたしに出来ることなら何でも!」
「なんでもする、か」
確認するように復唱する一条君は、何かを企むように口角を上げて妖しく笑う。



