わたしはそんな一条君に一歩一歩近付いた。
そして。
ーーギュッ
一条君の大きな体を、両手いっぱいで抱きしめた。
「一条君、前に言ったよね」
トクトクと大きくなっていく心臓の音。
自分からこんな大胆なことをするのは初めてで、すごく恥ずかしかった。
「何かあったら、助けてやるって。一条君と一緒にいられるなら、どんなことにだって耐えてみせるよ?わたしは、一条君と一緒じゃなきゃ心から笑えないから」
一条君は、黙ったままわたしの声に耳を傾けていた。
抱きしめるわたしを振り払いもせずに、ピクリともしないで、ただじっとしている。



