「おい、悪かったな……」 「ちょっと、琉羽!!早くしないと、授業に遅れるでしょ!」 そう言いかけた時、遠くの方から叫んだ女の友人であろう声に、俺の声はかき消された。 目の前の女も、慌てたように立ち上がって俺に背を向ける。 「ゆ、ゆらちゃん……!ごめんね、モケちゃんの一大事で……今行くから!」 モケちゃんというのは、どうやらこのウサギのことらしい。 「あ、そうだ」 駆け出そうとした瞬間、女が俺の方をくるりと振り返った。