情けないのはわかっている。 俺のせいであいつを傷付けた。 あいつはムリに笑ってたけど、頬の傷を見て心が痛かった。 怖い思いをしたに違いない。 もう二度と、あいつのあんな笑顔は見たくない。 俺がそばにいたら、間違いなくあんな顔ばかりさせてしまう。 だからこそ、俺はあいつから離れようと思った。 家の前に着いた俺は、玄関先に小さな何か転がっているのが見えて思わず足を止めた。 目を凝らして見ると、ウサギの編みぐるみのようだった。 確かこれは、琉羽がいつもカバンに付けていた物だ。