「お前歩くの遅いな、さっさと行くぞ」 「えっ!?」 奴らの前から早く立ち去りたくて、俺は琉羽の腕を掴んで引っ張った。 「いち、一条君……!手、手が!」 「うっせーな。そんくらいで、いちいち騒ぐんじゃねーよ」 今、それどころじゃねーし。 早歩きしすぎたせいか、駅に着くと琉羽は息を切らして疲れ切った様子だった。 悪いとは思ったけど、こいつを危険に晒すわけにはいかない。