「ま、待って……!」 階段を降りて玄関に向かう。 靴を履いていた一条君の腕を、わたしは逃がすまいとギュッと握った。 そんなわたしを、一条君は目を見開いたまま見下ろす。 「本当に好きなの!錯覚じゃないよ?一緒にいる時間が減ったら、余計に一条君のことでいっぱいになると思う……!」 だって、好きだから。 離れたくないって思う。 このまま、何もなかったことにして終わらせたくはない。 一条君……好きです。