一条君はわたしの前までやって来ると、腕を引っ張って立たせてくれた。 掴まれた腕が熱くて、痛さなんてどこかに吹っ飛んだ。 それよりも、目の前にいる一条君のことしか頭に入らない。 「大丈夫か?」 ーードキッ 柔らかくなったその眼差しに、まともに顔を見ることが出来ない。 「あ、う、うん……」 小さくそう言うと、一条君はそんなわたしをフッと笑った。 「行くぞ」 そして、そのまま腕を引っ張られて。 ギャル達が唖然として見守る中、居た堪れない気持ちで旧校舎まで歩いたのだった。