だけど、何も言い返すことが出来ない。
こんな時、少しでも何か言える勇気が持てたら。
もう少し強かったら……。
そんな風に思っても、結局は言えなくて。
そんな自分に、またいちいち落ち込んで自己嫌悪に陥る。
笑い声が響く中、顔を伏せて黙り込むわたし。
「おい」
その時、突然聞こえた低い声。
この声は……!
パッと顔を上げると、鋭い眼光でギャル達を睨み付ける一条君の姿が見えた。
ーードキッ
前までのわたしなら、その一条君の姿を見て震え上がっていたに違いないけど。
今はそんな風に思わない。
そこで初めて、一条君に対して、恐いっていう感情がなくなっていることに気付いた。



