わたしの目の前にドカッと腰掛けた一条君を見て、整ったその顔に思わずドキッとする。



「あ、うん!お願い、します」



いつもはもう少し雰囲気が柔らかい気がするのに、今日は本当にどうしちゃったんだろう。



もしかしたら、グラタンがお口に合わなかったのかな?とも考えたけど、どうやら違ったみたいだし。



何か他に嫌なことでもあったのかな。



気になるけど、聞けない。


まだそこまで、親しい間柄じゃないし。



「そこ、間違ってる」



ひたすら問題を解くわたしに、一条君の冷静な声が飛ぶ。



「昨日も言っただろ?同じことを何回も言わせるんじゃねーよ」



「ご、ごめん……なさい」



うー。


だって、わからないんだもん。



「いいか?ここは……」



そう言って一条君は解説を始めるために、わたしが手にしていたシャーペンを奪い取った。



その時、トンッと指が触れて。


ーードキン


と鼓動が大きく鳴る。