次の瞬間、それは百合の腕の中に舞戻ってきていた。


きょろきょろとあたりを見回す岬平。


「...甚兵衛(じんべえ)か!」




何時の間にか百合の傍らには黒装束に身を包んだ精悍(せいかん)な男がひざまづいていた。