しかし。
「駄目だ。」
「え?」
あまりにも早すぎる返事に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
…駄目?
まだおれはなにも言っていない。
戸惑うおれを見据え、宮人長は少しだけ身を乗り出すと…顎に手を添える。
「シキガミ様を宵祭に連れて行こうなど、言語道断だ。」
どうしてそれを、と言おうとしたが驚きのあまり声が出ない。
凄まじい察知力と言うべきか…まるでおれが何の用件でここに来ると分かっていたかのような口ぶりだ。
「お前なら、何故私が駄目だというのか、考えずとも分かるだろう。」
「も、勿論それは承知の上です…、ですが、」
「お前。」
突然強い口調で言葉を遮られ、言おうとした言葉を飲み込んだ。
おれの顔を見たまま…宮人長は口を開く。
「……成程な。」

