くれなゐの宮


――休憩を終えたおれたちは、各自祭の準備へと取り掛かる。

何をやるのか二人に聞いたところ、トウカは舞楽の笛を、ナズは屋台で面を売るのだそうだ。


「面?もしかして自分の顔を面にしたの?」


「馬鹿か!俺の顔の面なんて売ったら、世の女が泣いて喜んじまうだろうが!」


「……吐き気がする。」


ケッとトウカに唾を吐かれ、ナズは彼女を追いかける。

分かれる間際、ナズはおれに今日の屋台で売る面を一枚分けてくれた。

それは狐の面。


「俺の手作り。」


ひひっと自慢げに笑う彼は面を渡すなり、大声を上げてトウカを追って行った。