「……お、れは…。」
言えるわけがない。
自分の行く末が分からない今、この気持ちを伝えたら…恐らく二度と不運な境遇を受け入れられなくなるだろう。
時が迫るにつれ感情に飲み込まれ、運命を、宿命を、この世の全てを恨み、自分を呪い続けて、何もかもを壊して。
狂気に狂い、悶え、嗚呼、いつぞやの自分のように…大切なものまで……。
恐ろしくなって唇をかみしめた。
その様子を見て悟ったのか、イハルはおれの気持ちを見透かしたように言う。
「答えなくてもいい。きっと…私もお前と同じ気持ちだ。」
思わず、彼女の方を向いた。
潜めた眉を緩めることなく…イハルは笑う。
「ただ、幸せというものを知りたいだけなのに、知れば知るほど…最後に何もかも奪われてしまうんだ。」
その瞳から次第に涙が溢れ、名残惜しそうに頬を伝う。

