くれなゐの宮



だが、そう思っていた矢先、イハルはぎこちない笑みを浮かべながらもおれを見た。



「でも、とても嬉しかった。初めて外に出られた上に、夢にまで見た宵祭りに行けるなんて思ってもいなかった。
コウや、セツ、キリハ……そして、お前のお蔭だよ、チサト。」



「……。」



「…ありがとう。」



素直に嬉しかった。

その一言で、何もかもが報われる気がした。


首を横に振り、何も言わずに彼女の小さな手を握りしめる。


彼女もまた笑みを零して、おれの腕に頭を寄せた。


輝く花火に照らされて、川辺に二つの影を落とす。



このまま時が止まればいい。そう、何度思っただろう。