「優紀と席遠いや…」

しょぼーんとしながらそう言った美姫。

美姫の名字は葛城。

私の名字は真城。

か行とま行なので出席番号順で席が遠くなるのは当たり前だ。

「いつでも遊びに来て良いからな」
「出たよ。その喋り方…
1日に1回は絶対に出るヤツだ…」
「だって…だって！」
「はいはい。もうわかってるよ。例のあの人が好きだから♡なんでしょ？」

美姫の言うあの人とは私が愛してやまないアニメの主人公のことである。

その人の名前は…

「おっ、高井♪今年もお前と同じクラスかっ！」
「うるせぇ…静かにしろよ…」
「あれれれれぇ〜？高井く〜ん、ご機嫌斜め…ぐほぉっ」

「ねぇ、美姫。今の聞き間違いじゃないよね…」
「え、あ、うん。"高井くん"って私も聞こえたよ？」

…運命かもしれない。

「ちょ、ちょっと優紀…？変なこと考えてないよね…？」
「話し方といい、雰囲気といい、私の好きな"高井くん"にそっくり！
名前は何ていうんだろう…」