「お前は伝説の勇者なのか。」
レノンは目をキラキラ光らせてている。

「僕は勇者ではない。あんな人間と同じにしないでください。
 あいつは卑怯者で魔王が寝ている時に襲ったのです。
 かっこ悪いですよ。
 それに比べて僕は昼間に決闘を申し込み見事に勝ちました。」

「勇者って卑怯者だったのか。ショック。」

「で、じいさんは僕と決闘するのですか?」

さっきまで王様って呼んでくれたのに。

「わしは戦わん。闘うのは孫じゃ。」

「闘わねぇ。オレがどんな気持ちでヤルのか考えたことがあるか。
 じじい。やりたくない。汚いこと。」

生意気言って。
わしだって昔やったもん。
嫌だったけどがんばったよ。

「わしだってやった。汚いことを。一族の仕来りだからやれ。」

「やらないね。」

レノンはわしを睨みまくる。

「じいさんは僕が怖いでしょ? 
 じいさんって大したことないですね。」

ムカつく。調子のりやがって。

「じじい、もしかして本当に怖いわけ?」

レノンも挑発してきた。

「怖くないわい。わしがお前を倒してやる。」

わしは思いっきり殴った。生意気な人間を。
レノンはぽかんとしている。

「いきなりはないですよ。僕の顔が台無しじゃないですか。
 この顔を作るのに頑張ったのに。」

わしが殴った頬の当たりから透明な何かが見えた。
顔の一部はこなごなに床に落ちた。

「お前、人間じゃないわけ?」

レノンよ、どう見ても人間じゃないって。
あれは宇宙人だ。絶対に。

「何を言っているのです。僕は人間ですよ。あははは。」

「だよな。宇宙人なんていないよな。」

「そうですよ。いないですよ。」

目の前にいるって。
レノン。
しかもいつのまにか顔が直っている。

「じいさんの拳、痛かったです。正直年寄りをナメてました。」

「いやね。もうゾンビするのやめる。」

「なんでです?」

「ゾンビたくさんいるからね。」

「そうですか。また戦いましょうね。王様。」

もう2度と戦わない。

「お前、いつまでここにいる?」

「僕はもう少し滞在します。」

「そうか。オレ、人間と友達になりたいとずっと思っていたんだ。
 友達になってくれないか?」

「いいですよ。僕もゾンビさんと友達になりたいと思っていましたから。」

レノン、こいつは人間じゃない。
馬鹿だから仕方ないか。


わしはなぜ宇宙人がゾンビ王国にきたのか気になった。
侵略するきなのか。


続く