私と彼と――恋愛小説。

それに答える佐久間の表情は妙に印象的だった。まるで感情が消えた様な感じと表現すれば良いのだろうか?


けれども、それはほんの僅かな時間で佐久間自身気付いていないのかも知れない。


佐久間を見つめていた恭子も杏奈も気付いた様子だ。佐久間は何か異変にでも気が付いた様に苦笑いで誤魔化す。


「それは絶対にありません。カヲルが執筆するのは映画の原作になる連載中の作品とnoxに書く短編連載だけです。僕がその後小説を書く事もありませんよ」


静かに言い放つ佐久間の言葉には強い意思が感じられた。


「何だか勿体ないね…」


杏奈の素直な言葉に、佐久間はそうですねと笑った。