私と彼と――恋愛小説。

「遅くなって申し訳ないですね」


相変わらず人を惹きつける笑顔で佐久間が部屋に入って来た。


恭子も杏奈も一瞬で好感を持った事がわかる。それが佐久間の持つ天性のものなのか、計算ずくなのか考えたくない。


佐久間は迷いもなく私の横へ座る。


「紹介してよ加奈子ちゃん」


「へぇー加奈子ちゃんって呼ばれてるんだ。仲良しなのね」


杏奈が意外そうにそんな風に話した。


「今のが三浦杏奈。佐久間さんの映画のスポンサーRAVUROの担当。それからライターの神戸恭子」


「杏奈さんに恭子さんね。佐久間涼です、宜しく」


歳上の女をさらりと名前で呼ぶ。それでも嫌味は感じさせない。杏奈も恭子も満更でもない風だった。