私と彼と――恋愛小説。

これからの進め方を打合せ、ジュンさんも佐久間も杏奈と恭子の事に関しての対応を考えると言う。


「そうだなぁ…兎に角二人に会うよ。連絡してみて」


帰り際に佐久間がそう告げた。ジュンさんの表情だけが曇っている風にも見えた。


何かが釈然としない。ジュンさんの表情も気に掛かる。確かに一つのプロジェクトとして佐久間が仕掛けた事なのだろう。


携帯サイトの小説は、その歯車に違いない。佐久間は小説に対して思い入れなどなさそうに振舞っている。


そうだ…やはり違和感があるのだ。本当に小説などどうでも良いと感じている人が書いた作品なのだろうか?


文芸畑では無いと云え、私だってプロの端くれなのだ。あの小説にはあまりに見事な感情が詰め込まれている。


まるでノンフィクションの様なリアルな感情。だからこそ、人々も私も引き込まれたのだ。


兎も角恭子と杏奈に連絡を取ろう。これだけ短い間に集まるのは久しぶりだった。


「佐久間に会ってみない?但し誰にも言わないで…」


案の定二人からはすぐに了解と告げるメールが入った。