私と彼と――恋愛小説。

「はいはい、それで?あたしにも何か用があるのね?」


ジュンさんはつまらなそうに佐久間の横へ座り珈琲カップに手を伸ばす。


私は三人で飲んだ夜、ライターの恭子がカヲルの存在に何かを感じていた事。映画のスポンサーで、noxの協賛も受けたアパレルメーカーで杏奈が映画の担当になる事を告げた。


「それと――noxでもカヲルのインタビュー記事を出すべきだって企画が上がって…」


「なるほどねぇ…いくらあたしでも、加奈子ちゃんを別人には出来ないわよね」


「そうだよなぁ…意外なぐらい粗が出るのが早いな。仕方ないな。ねえ加奈子ちゃん――その二人って信用出来る?」


「信用って…そりゃもちろん友達だし…」


「そう、この際だ巻き込んじゃえ。そうすればnoxのインタビューは大丈夫じゃない?」


あっさりと佐久間は言う。確かに私の気は楽になる気がする。


「大丈夫なんですか?私は少し気が楽ですが…」


佐久間は少し考える素振りを見せて、思いがけない言葉を口にした。


「ライターの彼女には、後で暴露本でも出して貰えば良い。それなら文句もないだろう」


「無茶苦茶ですね…」


「そうかな?まあ、きちんと最後迄取材して貰えればの話だけどね…きちんとね」


何故だかジュンさんが真面目な表情で佐久間を見ているのが気に掛かった。