私と彼と――恋愛小説。

「出すだけなら間に合うだろうが――告知は時間がなさ過ぎるな…」


営業部長が困惑した表情を浮かべて佐久間を見る。


「その点ですが、初版は部数も告知も最低限で構いません」


佐久間の言葉に全員が不思議そうな表情を浮かべた。


「ふむ…出版はタイミングを逃さずにと言ったのはきみなのに、どうしてだね?」


佐久間にそう問いかけたのは真田常務だった。


「ええ、サイトで盛り上がってるといった処で読者は二十万程度です。購買に結び付くのは数%でしょう。急ぐのはnoxの創刊に合わせるだけの事です」


「だが、それでは本が売れないのじゃないか?」


「単独での告知では相当リスキーだと思います。サイトでの告知もするとは云え充分では無いでしょう」


「佐久間さん、その顔付きからすると仕掛けがあるんだな?」


「そう云う事ですね。完結から一月後に合わせて映画の制作発表を仕掛けます。充分に話題になるキャストの筈ですからね」