周りには、今のところ彼女の気配はない。パソコンを開いて資料を読み漁る男性と、若いカップルが居るだけだ。
三時きっかりにテラス席に現れたのは、待ち人ではない若い男だった。
すれ違いざまに男が私を見たのは、多分私が先に彼に視線を向けたからだろう。
好みのタイプではあるが、そんな意味で見たわけではない。彼以外にテラス席に現れる人物が居なかっただけの事だ。
もしかすると、何処かで私の姿を確認しているのかも知れない。
注意深くビルの外を眺めるけれども、振り返りもせず歩き去る人々が目に入るだけだった。
結局、私も他の出版社と同じでこの後には連絡も取れなくなるのだろうか。
編集長の顔が浮かぶ。もちろん代わりの作家やコラムニストは仮押さえしてある。
それでも〈カヲル〉に拘りたかった。新雑誌のテーマや年齢層に一番相応しいのが彼女なのだ。
編集長の力の入れようは半端ではなかった。連載の反応が良ければ出版の話も前向きに進めると伝えて良いと告げた。
三時きっかりにテラス席に現れたのは、待ち人ではない若い男だった。
すれ違いざまに男が私を見たのは、多分私が先に彼に視線を向けたからだろう。
好みのタイプではあるが、そんな意味で見たわけではない。彼以外にテラス席に現れる人物が居なかっただけの事だ。
もしかすると、何処かで私の姿を確認しているのかも知れない。
注意深くビルの外を眺めるけれども、振り返りもせず歩き去る人々が目に入るだけだった。
結局、私も他の出版社と同じでこの後には連絡も取れなくなるのだろうか。
編集長の顔が浮かぶ。もちろん代わりの作家やコラムニストは仮押さえしてある。
それでも〈カヲル〉に拘りたかった。新雑誌のテーマや年齢層に一番相応しいのが彼女なのだ。
編集長の力の入れようは半端ではなかった。連載の反応が良ければ出版の話も前向きに進めると伝えて良いと告げた。
