私と彼と――恋愛小説。

それでもArrivalの文字が表示されると、落ち着いていた筈の心が揺れる。


トクトクと鼓動が速まり、自分が佐久間を望んでいた事を突きつけた。


一年間の我慢が無意味になる事が少し悔しい気がした。すぐそこに佐久間がいる…


自然に笑みが零れているのがわかる。深くゆっくりと深呼吸をする。落ち着け…私。


この侭では佐久間の姿を見るなり駆け寄ってしまいそうだ。これだけ待たされたのだ、少しぐらい意地悪がしてみたかった。


入国ゲートを眺めながら、落ち着かない時間が過ぎてゆく。


そうして――待ち望んだ姿がゆっくりと、でも真っ直ぐに私に向かって歩き始める。


真っ黒に日焼けした顔は、これ以上ない程に微笑んでいる。私は…もう泣き出しそうで、唇を噛み締める。


「ただいま…加奈子ちゃん」


そう言いながら躊躇いもなく私を抱きしめた。